何でも揃う セレストロン C6 SCT OTA CG5鏡筒 口径150mm 天体望遠鏡

 
何でも揃う セレストロン C6 SCT OTA CG5鏡筒 口径150mm 天体望遠鏡
何でも揃う セレストロン C6 SCT OTA CG5鏡筒 口径150mm 天体望遠鏡

星雲、星団の観測に
Celestron - 114LCM Computerized Newtonian Telescope - Telescopes for Beginn
コンパクトな鏡筒ながら口径150mm、焦点距離1500mmと大きく、オリオン大星雲など星雲、星団の淡い輝きの天体の細部もじっくり観察できます。

■ 優秀な光学系
タカハシ J-S ピラー脚
光の透過率をアップさせたスターブライトXLTコーティングを施した補正板を採用しています。Water white glassの補正板にスターブライトXLTコーティングを施すと各波長平均透過率は83.5%に達します。
タカハシ SE-LL ピラー脚

タカハシ SE-L ピラー脚
■ CG5互換の赤道儀にも搭載可能
セレストロン NexStar5SE SCT 自動導入天体望遠鏡 日本語ハンドコントローラー付
ビクセン互換のあるCG5規格アタッチメントレールを装備、ビクセン規格の赤道儀にも搭載できます。接眼レンズは31.7mm径です。
ビクセン ED103S 鏡筒

Levenhuk Skyline PRO 127 MAK Telescope ? 127mm Maksutov-Cassegrain with Long Focal Length and Large Aperture 並行輸入品
■2年間保証
Celestron - NexStar 102SLT Computerized Telescope - Compact and Portable ? Refractor Optical Design - SkyAlign Technology - Computerized H
取扱説明書における正しい使い方で、お買い上げの日から2年以内に故障等が起きた場合には無償にて修理いたします。 (電子機器は1年間保証)
Celestron NexStar Evolution 4SE f/13 Maksutov-Cassegrain GoTo Telescope with Star Pointer Finderscope + NexImage Burst Solar System Imager C

Celestron - NexStar 5SE Telescope - Computerized Telescope for Beginners and Advanced Users - Fully-Automated GoTo Mount - SkyAlign Technolo
鏡筒部
VIXEN R200SS 反射式(ニュートン式)鏡筒 ビクセン 天体望遠鏡
対物レンズ有効径: 150mm/シュミットカセグレン スターブライトXLTコーティング
【メーカー直送】Vixen[ビクセン] AP-A62SS
焦点距離(口径比F): 1500mm(F10)
Celestron Astro Fi 102 Wi-Fi Maksutov Wireless Reflecting Telescope, Black (22202) 並行輸入品
分解能·極限等級: 0.77秒 · 12.7等
セレストロン 天体望遠鏡 NexStar 5SE SCT
集光力: 肉眼の459倍
カメラ 写真 双眼鏡 望遠鏡 テレスコープCoronado PST Personal Solar Telescope with Case #PSTCP
サイズ·重さ: 長さ406mm、外径180mm 本体約4.5kg
VIXEN SD103S 屈折式鏡筒 ビクセン 天体望遠鏡
ファインダー: 6 x 30mm
Celestron StarSense Explorer DX 130AZ スマートフォンアプリ対応望遠鏡 StarSenseアプリで星や惑星などを見つけるのに役立ちます 130mmニュートン反射板

Orion(オリオン) 8-Inch f/3.9 Newtonian Astrograph Reflector 天体望遠鏡
接眼部
Orion(オリオン) GoTo Upgrade Kit for SkyView Pro EQ 天体望遠鏡 Mounts
パーツ取付サイズ: 31.7mmビジュアルバック仕様シュミカセ専用ネジ/差し込み/31.7mm
Barska(バースカ) Anchormaster 18x50 Scope w/ Mahogany Floor Tripod
接眼レンズ(31.7mm径): 31.7mm径接眼レンズ(別売)使用可
VIXEN(ビクセン) Optics 39954 天体望遠鏡 (White)
付属品: 6 x 30ファインダー、接眼レンズ25mm、天頂プリズム31.7mm
Celestron(セレストロン) NexStar 4 SE 天体望遠鏡
写真撮影: TアダプターSCT用(別売)併用で可
Konus(コーナス) Digimax 90mm/F.1250 Maksutov-Cassegrain with Go-To 天体望遠鏡
太陽観察: 不可
Celestron(セレストロン) SkyProdigy 70 28x165 天体望遠鏡

Sky-Watcher EvoStar 72 APO ダブレット屈折器 – コンパクトでポータブル光学チューブ 手頃な価格の天体写真と視覚天文学用
セット内容
Celestron(セレストロン) NexStar 4 SE Maksutov-Cassegrain 天体望遠鏡, Special Edition
C6 SCT OTA CG5 鏡筒
Apollo 11mm

送料無料 Celestron 93493 高耐久 CPC 1100 三脚 (ブラック/シルバー)
付属品
ビクセン 星空雲台ポラリエ(WT) 〔polarie〕
6 x 30mmファインダー
Kenko 天体望遠鏡 Sky Explorer SE-AT100N プラネタリウムソフトセット 反射式 口径100mm 焦点距離450mm 卓上型 簡易追尾?
接眼レンズ25mm
Nikon フィールドスコープ接眼レンズ FEP-50W
天頂プリズム31.7mm
ESSLNB Astronomical Reflector Telescopes 114AZ Mount with Shutter Control a
取扱説明書
タカハシ 天頂ミラー50.8(31.7アダプター付)
保証書
【】 CELESTRON 天体望遠鏡 ASTRO MASTER LT70AZ 簡単操作 初心者にもおすすめ CE21074
※この品物はお取り寄せ品です。ご注文後納期のご連絡をいたします。

Celestron - 114LCM Computerized Newtonian Telescope - Telescopes for Beginn

特別記念冊子

Acne Studios アクネストゥディオズ ロゴ Tシャツ

いしいしんじ 

SHOULDER PADDED PEPLUM DRESS

IDEE Repos ミニバスタオル、フェイスタオルのギフトセット④

 ほかのつばめは、怒っていました。激怒していました。

 怒髪天を突き、憤懣やる方なし、怒り心頭に発しまくり、って感じでした。

 ウェディングドレス

モンクレール ビッグワッペン お出かけパーカー ワンピース スウェット

 たしかに、器職人さんちでの集合時間に、ほんのちょっとだけ遅れました。20分、10分、いや、5分くらい。でもそれは、べつに寝坊したり、さぼったり、だらけていたせいではないのです。

 電線に、どこかのばかなこどもが凧をひっかけ、バチバチ火花が散っている。すずめやひばりの子らが、こわがって、むこうの森へ飛んでいくことができない。だから、ほかのつばめがつきそって、送り届けてやったのです。寝坊どころか、人助け。ボランティア。笠地蔵。そうして駆けつけたところ、職人さんはもうすでに、つばめたちを中へ迎えいれた、展覧会用のお皿を、窯に入れ終わったところでした。たった2、3分の差で、ほかのつばめは、晴れの舞台からあぶれちまったってわけです。

シンワ デジタル台はかり隔測式100kg【品番:70108】

 【送込】ゼンシン フレキシブルメタルホース(非溶接・ユニオン型・ステンレスタイプ) 呼び径25A(1インチ) 1本【北海道沖縄送別】

 いちばんつばめらしいつばめっていえば、この僕なのに!

 黒い頭から湯気をたなびかせ、ほかのつばめは、めちゃくちゃな飛びかたで巣にむかいます。お皿にあぶれたことに加え、「ほかの」なんて、脱力しそうな呼び名、とうていがまんができません。ただこれは、書き手の僕がそう決めたのだから、当面、つきあってもらうよりほか、しょうがありません。だから、ほかのつばめのことはこれから「ほかの」と呼ぶことにします。

 タカハシ SE-LL ピラー脚

 古い町家の屋根庇に、まるで団地みたいにぎっしり、つばめたちが巣をかけている。ほかのは、よりすぐりの麦わらで編んだ、自分の巣に飛びこみました。枕、エンピツ、歯ブラシにハンカチ。かたっぱしから風呂敷になげこんで背中にせおい、赤い胸もとでくくります。

Fender FB620 Electric Bass Gig Bag - Black

 戸口のわきの大ぶりな水瓶から、オタマジャクシが声をかけてきました。

マークエリス MARC ELLIS レディース スーツ・ジャケット アウター Blazer White

 ほかのは表札をひっくり返し、巣のなかに、旅立ちのおまじないにぷっぷっと唾をひっかけます。

「もう、こんなカビくっさい家にはおさらばさ。皿になんてとじこめられてたまるか。僕は、これまでどんなつばめも想像すらしたことのない、偉業を達成するんだ」

ウエディングミニドレス 結婚式 安い ミニドレス 白 演奏会 パーティードレス 二次会 ウェディングドレス 花嫁 サッシュリボン コンサート マタニティドレス

 と、また別のオタマジャクシ。

送料無料 敷き布団 セミダブルロング 約120×210cm 日本製 無地 敷布団 寝具 清潔 快適 防ダニ ダニ増殖抑制 シンプル

 ほかのは、くちばしを鳴らして考えます。けど、なかなか考えが浮かびません。それはまあ、当たり前のことです。なんせ、これまでどんなつばめも想像したことがないことを想像するのは、つばめにとって簡単じゃありませんから。

【新品】【NSHD】電車でGO!!専用 ワンハンドルコントローラー for Nintendo Switch[在庫品]

エキパイ スバル サンバー 社外マフラー 未使用 フレキシブル 1m ガスケット

「いってらっしゃい、ほかの」

 オタマジャクシたちがざわざわと水面に集まります。

ナカバヤシ アバンテV2フロアケースフカ9ダン/マットホワイト 『AFM9MW』

「へんな虫、たべないでね」

PCX JF28マフラー

 いいながらオタマジャクシたちは横向けに整列し、ふわふわたゆたいながら、音符になってうたいはじめました。「赤い鳥」がうたった「翼をください」です。

 

 ネストテーブル テーブル コの字テーブル ローテーブル コの字 センターテーブル コーナー リビング サロン モダン シンプル 高級感 ウッド調

 とんでーいきたーいーよー

セレストロン NexStar5SE SCT 自動導入天体望遠鏡 日本語ハンドコントローラー付

 オタマジャクシがうたうので説得力がちがいます。そういうこととは別に、ほかのはなんだか、胸のなかがぞわぞわしてたまらなくなりました。

京セラ 溝入れ用チップ TN60 CMT ( GDM5020N-080GM TN620 ) (10個セット)京セラ(株) (メーカー取寄)

セットアップ 結婚式ワンピースカーディガン お食事会 両親 顔合わせ服装40代50代60代70代 お見合い 母親 叔母 祖母 姪 ぽっちゃり シニア155-0422-0035

 ほかのはそういって、翼をぴんと反らせて飛びだしました。一気に町を抜け、桜並木の川に出ます。みどりの匂いがぷんと鼻をつく。

 ぬるい春の風を受け、川に沿って、南のほうへくだっていきながら、ほかのはふと思います。オタマジャクシたちのうた、さいごまできいて、それで拍手してあげたら、あいつらけっこう喜んだかもな。

 川沿いに飛びながら、ほかのは全身をひらきます。

 ほかのに限らず、また、つばめに限らず、鳥という生きものは、羽根をひろげ飛んでいるように見え、じつは、からだのすべてを、自分をとりまく空間と時間にむけてひらいています。

あすつく対応 「直送」 タンガロイ [EPW13R063M32.0-05] 柄付TACミル EPW13R063M32.005 350-8404【キャンセル不可】

 ほかののからだに、次々と、世界のにおいが入る。ぬるまった川の表面。おどっているみどりの藻。河原のどこかで誰かたき火している。

 春の花がひらき、わらびやこごみに風が吹きよせ、河原にひろがる草原のあらゆる香りが、ほかのの鼻孔へ、誰もみたことのない滝のようにどっと流れこむ。犬のよだれ、鴨の羽根、周囲を飛びまわる花粉。

 (まとめ) TANOSEEDリングファイル(PP表紙) A4タテ 2穴 200枚収容 背幅38mm ブルー 1冊 〔×50セット〕〔沖縄離島発送不可〕

 ほかののからだに、次々と、世界の光が入る。飴色の、朝の陽ざし。陽光の照り返す川の水は、一瞬だって同じ色をしていません。当たり前です、透明な水は、たえず変化するまわりの景色を、すべて呑みこんで流れゆくのですから。

 まとめ買い アサヒペン 水性ビッグ10多用途 222ベージュ 1.6L 〔3缶セット〕

N-BOX/N-BOXカスタム レザーシートカバー

 風切り音は、羽根がたてているの。それとも、風の響きなの。

 河原で誰か、ホルンの練習をしている。楽器のなかを、吹いているひとの息が流れ、さまざまなかたちを経て外界に流れだす。音とはつまり、空気のふるえです。鳥たちは高い空の上で、眼下の丸い天体が、ふくらみ、縮み、をくりかえしながら、どんな風に息づいているか、たえず聞き耳をたてている。それはまた、小さく赤い、みずからの胸のふくらみ、縮みに、いつも必ず同期しています。ほかのは音をたて、飛びます。同時に、音となって飛んでいく。

トミージーンズ TOMMY JEANS スニーカー メンズファッション メンズシューズ、紳士靴 スニーカー アイボリーspan>

 たったいままでほかのの内にあった外。におい、光、音を発しながら、そのちいさなかたまりは落ちていく。

スーツケース lサイズ 90l シルバーマット キャリーケース 出張 旅行 ハード メンズ レディース 人気 海外ブランド JUSCHA 送料無料 【メール便不可】

「おい」

 真下から声がかかります。

FJALLRAVEN バッグパック リュック

 翼をたててブレーキをかけます。ほかのは身をひるがえし、視線を下に向けると、川の土手に一頭、馬が立ち、こちらをみあげています。

Levenhuk Skyline PRO 127 MAK Telescope ? 127mm Maksutov-Cassegrain with Long Focal Length and Large Aperture 並行輸入品

 とほかの。

ハート&フレンズ~ホーム・フォー・ザ・ホリデイズ【初回限定盤DVD+CD/日本 (中古品)

「そんなのは、どうでもいいことだ」

 [シチズン] 腕時計 シチズン コレクション エコ・ドライブ ペアモデル EM0400-51B シルバー (文字盤色-シルバー)

メナード薬用デイクリーム2点セット

 旋回しつつほのかは少し考え、

正規品2022SS 日本製 PGビッグ裏カノコ 半袖ポロシャツ サイズ6

 それをきいた牡馬は、右前の蹄でかっかっと土を掘り、

「おまえもいずれ、どこかに新しい巣をかけるだろうな」

「ええ、たぶん」

「そのとき、材料として、このわたしのしっぽの毛とたてがみを、まるまる、さしあげようとおもうのだが、いかがかね」

 ほかのは一瞬、なにをいわれているのかわからず、そうして頭をぶったたかれたように驚きました。動物の毛、とくに馬の体毛は、巣をつくるのに理想、最高級、まさしく夢の素材です。ひとつの巣のなかに馬の毛一本はいっているだけで保温性、通気性、心地よさ、強度、すべてがぐんとあがるといわれています。ほかのもいっぱしの、若いオスのつばめなのですから、いつか馬の毛で巣を編んでみたい、そんな望みを覚えないわけではありませんでした。それが、なんと、一頭分というのですから!

「え、あの、もちろん、でも」

 ほかのは、しどろもどろを絵に描いたような調子で、

「ほんとうにもらえるんなら、ぜひ、ください」

 すると老馬は、吐息をつきながらうなずき、

「そのかわり、といってはなんだが、ひとつ、頼まれてもらいたいことがある」

 首をあげさげしながら、いいました。

「わたしは、死に場所を、さがしておる。このくたくたした世の中で、もう十二分に生きた。そこで、鳥であるおまえに、道案内を頼みたいのだ。かんたんなことだ、この河原をずうっと南へ、おりていってくれればよい。ずいぶん昔、きかされたことがある。陽の当たる川べりのどこかに、馬のためのあの世に通じる、真っ黒い穴がひらかれてあると。わたしとともに行きながら、おまえはその広い鳥の目で、黒々とひらいた穴を見つけてはくれないだろうか」

 突然のことで、面くらいはしましたが、馬の毛一頭分といわれた、さっきの驚きにはおよびません。くるっと空中に丸を描き、ほかのは、その羽根よりも軽やかな口調で、

「いいっすよ、案内しましょう」

進撃の巨人 完全受注 オンライン展覧会限定 記念額装絵 第30巻表紙

 老馬は、ゆったり、ゆったり、下流のほうへ歩きはじめました。

「わたしは、ほとんど目がきかない。溺れるのはみっともないから、穴のことに加え、川へ落ちないようにだけ気を配ってくれたらありがたい。わたしのことは、べつの、と呼んでくれればよい。若いころから、群れることになじめず、ずうっと一頭きりで過ごすうち、べつの馬、呼ばわりされるようになった。いまではその名のほうが、べたべたしたつきあいより、よほど馴染んでいる」

 一見ゆったりした歩調ですが、べつのの足どりはじつに力強く、空からみおろしていると、まるで小高い丘が移動していくようです。対岸へうつったり、いったん先に進んでまた戻ったり、気まぐれに飛びかいながら、ほかのは何気なさを装いながら、黒く輝く馬体から目をはなすことができませんでした。なんだか、自分こそ、べつのに案内されつつ、春の川べりを進んでいくようです。

CBX400F純正ソリッドタイプステッカーセット

 もちろんほかのも食事をとります。草間を飛びかう銀の虫やら、あたたかな土の上でのたくる長虫やら。虫たちの背にさすやわらかな春の陽ざしは、二倍かあるいはそれ以上、甘味をますスパイスとして働くようです。ひらり、ひらり、器用に飛びかいながらほかのは、くちばしの間に、空間を飛びまわる獲物をすくいとります。

 味や栄養分だけでありません。食事の際の、この閃くような動き、所作をくりかえすことでつばめたちは、すずめや鴨などでない、自分たちはほかならぬつばめなのだと、からだの奥に語りかけるように体感し、いまこうして生きている、その喜びにうちふるえるのです。つばめであることに、こんなに誇りをもっている動物はこの世につばめしかいません。これは当たり前のようですが、じつは大切なことなのです。

 ほかのとべつのは、一定の距離をたもちながら、湾曲する川の流れに沿い、南へ、南へとくだっていきました。そうするうち、西の山の端に赤銅色の夕陽が落ち、はじめの夜がおりてきました。

 べつのはブナの幹に寄り添って立ち、うあーあ、と大きなあくびをもらすと、ぶるっと鼻を鳴らします。よく知られていることですが馬が寝るのは立ったままです。ほかのはブナの梢に舞いおり、しばらくその揺れを楽しんでいます。

「なあ、つばめよ」

 べつのの声が、真下からあがってきました。

「おまえは、この川をくだっていった先の、どこへいくのだ」

「どこって、とりたてて、めざすところはないんだけど」

 急に視界をとざしはじめた宵闇に、ほかのは声をおとします。

「これまで、どんなつばめにもできなかったことなんかが、できれば、したいかなあ、って」

 偉業なることばが、この馬相手には、なぜか出てきません。

「ほう」

 べつのの声が深くひびきます。

「つばめをこえようってわけか。せいぜいがんばることだ。幸運をいのろう」

 え、と、ほかのは息をのみ、問いかけようとしました。闇の底からひっそりと、川面のあぶくのような老馬の寝息が浮かんできました。

 夜空を雲が流れます。空いっぱいにおぼろげに、銀色の星々が輝いています。

 二、三日、一週間と、べつのとほかのの、川下への旅はつづきます。歩きながらふたりはつかず離れずいろんな話を交わしました。

ミニ用ロケットカウル

 好きな食べもの、カラスの最悪さ、じつは生きているお地蔵さんのことなど、さまざまな話題を披露したあと、ほかのは、その姿がぼんやりと目に残っている、きょうだいの話をしました。いちばん上の兄ほどうまく、つばめらしく飛べるつばめを、ほかのはこれまで一羽だって知りません。

 ほかのには妹か、弟がいました。巣の中にぎゅうぎゅう詰めで、後ろや真横を見わたすことさえできませんけれども、両親や兄は笑いながら声をかけていますし、自分より小さな、あたたかみのあるからだが、お尻のあたりにきゅうきゅうくっついてくるのを朝夕感じていました。

 ある朝めざめると、巣のなかが妙に空いています。父親のくちばしから毛虫をうけとり、もぐもぐ飲みくだしながら、べつのはあとずさってお尻の先でいつもの感触をさがしました。

 お尻はかさかさ、乾いた巣の壁にこすれて鳴りました。それっきりでした。

「まあ、その後、まわりの巣をみて、妹か弟なんて、もつもんじゃないってよくわかったけどね」

 空中でくるっとひるがえり、べつのはいいました。

「ギャン泣きしてうるさいし、エサは待たなきゃならないし、飛べるようになってからも、まとわれつかれてうっとおしいし」

 中流域のこのあたりでは、河原は護岸整備され、石畳のランニングコースまで作られています。ちょうど間をおいたひづめの音が、春の川面に、ぽっかぽっく、ぽっくぽっか、かたく、やわらかく響きます。学生の漕ぐふたり乗りのダブルスカルが川上から一本の矢のように滑水し、通過してゆきました。

「だからか」

 草地で立ちどまり、べつのは前をむいたまま呟きました。

「え、なにが」

 五メートルほどの高みで輪を描き、ほかのは訊ねました。

「きのうの夕方だよ。カルガモの雛が流されたろう」

 べつのはいいました。

「川底が段々になってて、流れがあそこだけ滝みたいに急だった。カモの両親はきょときょと見まわすばかりだった。カルガモはみるまに一気に半ハロンは流され、激流のまんなかで泣き叫んでいた」

「もういいよ」

 べつのは顔をしかめました。

「ちがう話をしようよ」

「おまえさんはひとっ飛びでカルガモにおいついた」

 べつのはつづけます。

「そんな小ぶりなくちばしで、よく川岸まで運びあげられたもんだ。突然のことで、わたしもただ河原に、ぼんやり立ってるほかなかったが、なるほど、そういうわけか。おまえさんがしじゅう、河原の小さなヒナや小鳥たちに目をくばってるのは」

 ほかのはフンと鼻を鳴らし、真上へ一気に、三十メートル近く飛びあがりました。その日は夕陽が沈んでもおりてきませんでした。

 翌朝、もたれていた桜の幹から身を離し、べつのがゆったりと歩みだすと、どこからか、ツバメのほかのが舞いおりてきて、

「ゆうべはわりと冷え込んだけど」

 といいました。

 馬のべつのは、

「平気だよ。北の土地のうまれなんでな」

 とこたえ、ほかのを従えて歩きつづけました。

 そんな風にもう、何日が過ぎたでしょう。まっさかりだった春の空から、いつのまにか灼熱の陽ざしが降りそそぎ、そのうち、寒風が吹きすさぶ季節になっても、馬のべつのは河原を歩きつづけ、ツバメのほかのはその上を飛びつづけていました。

 ツバメはほんとうなら、もうとうに南の空へ飛び去っているはずです。けれども、ほかのは「ほか」であることに、けっこうな自負と誇りをもっていましたから、翼の先が多少ひんやりしてこようが、くるっ、くるっ、と勢いよく宙に輪をかき、平気な顔をして飛びつづけました。それに、べつのといっしょに河原を進んでいるあいだは、時間がいやにゆっくり、まるでカタツムリの歩みのように進んでいく気もしたのです。

 だんだんと、うす暗くなってきます。

加藤忠三朗作 釣釜道具セット

 船、車はもちろん、犬も、虫も、草のそよぎさえも、いっさい動くものが見当たらない。ただ、草を踏みしめてべつのが進み、ほかのは雲におおわれた空を黙々と滑る。

 上空から見おろすほかのの目には、だだっ広い河川敷をあちらこちらへ移動する、ぼんやりとした光のかたまりが映っています。消えた、と思ったらまた、少し離れた場所でほのかに灯り、呼吸するように明滅しては、少しずつ消えてゆく。そうしてまた、別の場所でゆっくりと灯ります。

「見たことのない光が、ついたり、消えたりしてる」

 と、ほかのが空からささやきます。

「着いたようだな、そいつが穴だ。あの世の光を外にこぼしてる」

 べつのがこたえました。

「おまえさんは、空から教えておくれ。わたしからみて、光の穴が順々とどっちへひらいていくか。位置と速ささえわかれば、自然に、わたしのからだが反応する。タイミングよく、穴のまんなかに、飛びこむことができる」

「どうなるの」

 少し小声でほかのがいうと、

「おまえさんとは、ここでおさらばさ」

 べつのは少し首をかしげ、視線を上空へ送りました。ゆったりと瞬きしながら、

「ありがとうよ。おまえさんは、ここまでしか来られない。まだまだ達者に生きて、すてきな場所に巣をかけ、ひなを立派に育てるんだ。いいか、それがいちばん、立派なことだよ。おまえさんには、まちがいなくそれができる」

「べつのは」

 ほかのはくるっと輪を描き、

「ほんとに、死んじゃいたいの」

「わたしのような老いぼれは、さっさと穴に飛びこんで、消えちまうのが世のためなのさ」

 深々とため息をつき、べつのはいいました。

「さ、ほかの。たのむぞ。おまえさんは、おまえさんにしかできないことをしておくれ。心配するな、うまくなかへ飛びこめたら、しっぽの毛とたてがみは、光といっしょに穴の外へこぼすからな」

 ほかのは、かすかにうなずき、もう一度輪を描くと空の高みにのぼりました。明滅する光のリズムがよくわかります。

「左3メートル、右斜め後ろ15メートル、左斜め前20メートル」

 ほかのは感情を殺し、光の動きに集中して叫びました。

「真後ろ10メートル、右斜め前20メートル、右8メートル」

 声のたび、べつのの背中がびくっ、びくっ、とふるえます。タイミングをはかっているのでしょうか。

 ほかのはカラカラになった喉をしぼり、全身をふりしぼって声をあげます。

「右斜め前18メートル、真左12メートル、真後ろ5メートル」

ロングテール フェンダー KLX125やDトラ125に

「真正面、1メートル!」

 べつのが地面を蹴り、光のなかに身を躍らせました。しぶきのように光の粒がざんざんこぼれ、周囲ににちらばり、うす暗い草間をまぶしいくらいに輝かせました。

 暗い空に弧を描き、ほかのはまだ飛んでいます。べつのをのみこんだあとも、光の穴はまだ明滅しながら広野を移動しています。ただ、だんだんと輝きはおさまり、やがてもう、どこか別の場所へと吸いこまれてしまいそうです。

「おかしい、べつの。いってることと、やってることがちがう」

 つばめのほかのは、くちばしの奥でつぶやきました。

「べつのはなにか、隠してる。いぎょうは、まだ達成できないけど、頭だって、そんなによかないけれど、でも、ぼくにはわかる。ずうっと、ふたりいっしょに、ここまでやってきたんだから」

 べつののあの、最後の吐息が目に浮かぶ。まばたきする瞳の哀しげな輝きが、ほかのの目によみがえります。

 ほかのは、すうっとまた、空の高みに浮上しました。そうして、いっさいの迷いを振り捨て、つばめの全速力で急降下し、もうほとんど消えかかりつつある、ほのかな光の中央へ、目をみひらいたまま飛びこんでいきました。

 光のただなかへ飛びこんだはずなのに、うす暗い、闇のトンネルがつづきました。この先に馬のべつのが、なにか事情をかかえたままひとり、とぼとぼ歩いていっている、そのことだけで、小さな頭のなかがいっぱいで、ほかのには、まわりを怖がる余裕なんてありませんでした。

 はるか先に、オレンジ色の、あふれる光がみえてきます。ほかのは翼に力をこめ、スピードをあげました。オレンジ色がどんどん近づき、一気に目の前にひろがります。

 天井と壁がひろがった、まるい「室」のような場所でした。まわりは濡れたように黒々とかがやき、そこにオレンジ色の光がちろちろ反射しています。室のいちばん奥に、障子みたいな木枠の格子が張られ、あたりに満ちるオレンジ色の光は、そのむこうから万遍なく放射してくるようでした。

 格子の手前に大きな影が立ち、誰かに熱っぽく話しかけています。まちがいなく、馬のべつののようです。ほかのは耳をそばだて、天井近くを飛び、べつのの真上に近づきました。トンネル内奥のはずなのに、全体に熱がこもって息がつまりそうです。

「だから、わたしは、死にそうなんだ」

 ほかのは、強い口調でいいました。すると、格子のそばの誰かが、

「嘘だね。どうみたって、ぴんぴんしてるよ」

 ほかのは目をこらし、あっ、と息をのみました。背広を着た事務員のような人物が、半分すきとおった姿で、ノート片手にゆうらりと立っています。視線は半分ほかのへ、半分格子のなかへ、ちらちらと動いています。顔は馬です。

「いいかね、順番は守ってもらなきゃこまる。ちゃんと死にかけた馬から先に、門を通ってあっちへ行き、熾火のなかへ入る、こいつはもう、宇宙ができたときからそうと決まった掟なんだ。あんた、からだじゅう泥を塗り、お風呂にもはいらず、歩きづめに歩いて、自分をおいぼれに見せかけようって腹づもりらしいね。だが、この帳面見りゃ、ぜんぶお見通しだ。あんたはまだ、ぜーんぜん若い。そもそも、順番自体、まだまだ先だ。ほら、ごらん。予定表に名前さえのっちゃいない」

 事務員が、開いたノートをひらひら揺らせる。表紙には「えんま帳 馬バージョン」と書かれ、銀色のひづめの判がくっきり捺されてあります。

 目が慣れてくるうち、このほの暗い場所でなにが進行しているのか、天井を飛ぶほかのにもだんだんとわかってきました。

 室の床じゅう、半透明のぶよぶよした塊が列をなしてうごめき、少しずつ、室の内奥に張られた格子のほうへ進んでいきます。格子にたどりついたかたまりは、次々と、なんの抵抗もなく、ふわっと格子の向こうへ通りぬけていき、そうして、遍くかがやくオレンジ色の光のなかへ溶けてゆきます。

 どうやら、あれらは全部、瀕死の馬たちのたましいらしい。

「わたしは、死んでいいんだ」

 べつのが叫んでいます。

「なにが順番だ。うちの仔はうまれてまだ半年も経たないんだ。順番というなら、このわたしが先にゆくのが筋だろう。さあ、まだ間に合うはずだ。離れていようが、わたしにはわかる。うちの『そこの』と、このわたしを、さっさと入れ替えてくれ」

「月に一度はあんたみたいのが来る」

 事務員の馬は頭を振り、

「気持ちはわかるが、どうしようもない。いったんこの門を通っちまったら、ぜったい自分からは、門のこちらへは戻れない。あとは、あの熾火で焼かれて、真新しくうまれかわるほかないんだよ。あんたに、せめてできるのは、いっそうこころをこめて、その仔馬を見送ってやることだけさ。ほら」

 格子のすぐむこうに、ひょこひょこ、ぎごちなく歩み寄ってくるかたまりがひとつありました。べつのが頭をさげ、格子ごしに顔を近づけると、小さなそのかたまりは、いっそうぎごちなくその場で揺れ、後ろからの光を受けてふつふつ輝いています。

「ああ、そこの」

 大きく見ひらいた眼からいっそう大きな、ぶどうみたいな涙をはらはら垂らし、

「さあ、おきてくれ。その目をあけておくれ。ほし草のふとんの上に、しっかりと立ってごらん。おかあさんも、じいちゃんもばあちゃんも、妹たちも、お前の目ざめることだけを、ずうっと待っている。お前のかわりに、このわたしが熾火のなかへゆく。なにも心配はいらない。こうして最後にお前に会えたんだから、わたしは、喜んで先に行かせてもらう」

風防 旧車 z1 z2

 事務員が声をひそめ、

「生きてるし、でかすぎるし、あんたには、ぜったいにこの門はくぐれないよ」

 そのときです。黒い光がきらめき、べつのの耳をかすめました。ひらりと格子のむこうへ飛びこみ、地面でひょこひょこ揺れている小さなかたまりをすくいあげるや、目にもとまらぬ速さでまた格子の外へ飛びだしました。

「あっ、なんてことしやがる」

 慌てて事務員が飛びつきますが、あとの祭りです。黒い光は天井ぎりぎりまの高さをたもち、半透明のかたまりとともに、まっしぐらにトンネルを逆戻りし、はるか彼方へ遠ざかってゆきます。

 なにもいえないまま、べつのは遠ざかる光を見つめ、格子の手前に立ちつくしていました。絶望にうちひしがれてみえた瞳は、こうこうと輝きを放ちはじめ、首も肩も、お尻の肉も、老馬どころか働き盛りの若駒そのもの。

 光を見送りながらべつのは、胸のなかで念じました。

 飛べ、ほかの。つばめをこえてくれ。

 一心不乱に、ほかのは飛んでいきます。口にくわえた仔馬「そこの」のたましいが落っこちてしまわないよう、くちばしをうんと噛みしめて。

 北の土地のうまれ、とべつのはいっていました。そのことばと、ともに歩くあいだにかいだ匂い、それに、半透明な「そこの」のなかに映りこむ風景をみれば、飛んでいくべき方向は、自然とわかりました。

 トンネルを抜け、光の粒とともに、広大な河川敷に飛びだします。

 一瞬の迷いもなく、身を翻し、北の空をめざし、川をさかのぼって飛ぶ。見る間に、べつのと会った場所を過ぎ、自分のもといた土地も、通り越してしまいます。べつのとの旅の時間は、気のせいでなく、実際、とてつもなくゆっくりと過ぎていたのかもしれません。

 翼に力をこめると、ひゅんひゅん、ひゅんひゅん、ほかのの耳元でいっそう、噛みつくような、脅しかけるような風切り音が響きます。ほかのは怯みません。川辺を離れ、一気に高度を上げて滑空していきます。空を速く飛ぶことなら、もとより、ほかの誰よりうまくやれるのです。

 山をひとつこえます。緑の木々が少なくなりました。

 向かい風が冷え冷えとした壁のようにほかのの前にたちはだかります。その壁を、一枚、また一枚、と突きやぶるごとに、つばめのほかのは、空気が薄くなってゆくように感じました。青空の上に、薄くちりばめられた銀の星がまたたいています。ほかのはあごをきゅっと引き絞りました。眼下の山には緑の葉でなく、白い雪が敷き詰められています。

 それでもほかのは、怖くありませんでした。かえって頭が冴え冴えと澄み、気分がよいくらいのものでした。白い雪山の上にちらちらといろんなものが見えました。群れるオタマジャクシ。移動してゆく小高い丘。水をぶるぶる跳ねとばすカルガモの雛。

 北をめざしているのかな。雲を掠めて空を滑りながら、ほかのはひとりごちます。からだがなんだか重いけど、なにも食べてないんだからそんなわけない。きっとぼくの身はいま、自分史上最高に軽いはず。だいたいこの、なんだったか忘れそうな半透明のかたまりだって、この世の重さなんてないはずだし。

 だんだんと、頭がぼんやりとしてきます。銀色に輝く山をまたひとつこえます。湾曲して流れる川の水面は銀色に凍りついています。ほかのはもう、意志や勇気など忘れました。目の前にひろがる風景だけが、一瞬ごとに、ただ更新されていきました。羽ばたくでも、風に乗るでもない。ほかのはただ、飛んでいます。雪の吹きすさぶ海峡が眼下を流れてゆきます。

 薄れゆく意識のなかで、ほかのは声をきいていました。

CBR1100XX カウル

 つばめをこえろ。

 つばめをこえろ。

 自分の声か、別の誰かの声か、それももう判然としません。

 ただ、その響きに、ほかのの心臓はかすかにふるえ、血液はわずかずつ、前へ、前へと流れました。くちばしにこめる力だけは、一瞬もゆるぎません。まるで生まれたときから、そのままのかたちで、固まってしまっているみたいです。

 つばめをこえろ。

 つばめをこえろ。

 ほかのはもう、見えなくなりました。そのかたち、輪郭や、色、におい、すべてがわからなくなりました。だから、響いていたのはもう、声ではなかったかもしれない。心臓が、血流が、呼吸が、そう叫んでいたのかもしれません。

 耳はきこえませんでした。けれども最後の呼びかけは、とりわけ大きく、この星ぜんたいを包むように響きわたりました。

 つばめを、こえろ!

 雪に閉ざされた村の牧場。薪ストーブの煙があがっている。母屋から雪道を一本はさんで、かまぼこ形の厩舎が建っています。

 天井そばの、くすんだガラスの二重窓を通り抜けると、敷き詰められたわらの上に、何頭もの馬が輪をなして集まっているのが見えます。まんなかに、仔馬が一頭、右側を下に、横向けに倒れています。

 馬たちは嘆き、鼻を鳴らし、激しくいななきます。あたりを埋めつくす雪のせいでその声は遠くへいけません。セントラルヒーティングの蒸気の音が間欠泉のように時折ひびきます。

 不意に馬たちは、耳をそばだてます。いま、なにかきこえた。そら耳だろうか。誰かが駆けているような音がしたが。

 ちがう、そら耳じゃない。たしかに、蹄音がきこえます。春のあたたまった黒土の上を、リズミカルに、調子よく駆けてゆく、一頭の馬。まだ大人じゃない。澄みきった目の仔馬です。いちにっさん、いちにっさん、いちにっさん、駆け足のリズムで、土を蹴り、春の喜びにうちふるえながら、軽やかに跳ねています。いちにっさん、いちにっさん、いちにっさん。

 馬たちは目を見はりました。蹄の音は、わらの上に横倒しになった仔馬の胸のあたりから発していたからです。

 さらに馬たちは、あっ、と、いっそう目を大きくあけます。倒れた仔馬が彗星みたいなその瞳をひらき、まわりをみまわすと、

「ぼく、ずいぶんねたねえ」

 といったのです。

 年老いた馬やおとなの馬は、うんうんとうなずいています。はらはらと涙を流している馬もいます。はしゃいで、ぴょんぴょん跳びまわろうとする幼い仔馬たちを、痩せたおばあさん馬がふりむき、しっ、しっ、とたしなめます。

「おなかが、すいちゃったな」

 起きあがろうとする仔馬に、やわらかな声の女馬が、いきなり食べたりしちゃ、おなかに毒よ、そこの、といいます。力の強そうなおじいさん馬が、ぬるま湯をたたえたバケツを口にくわえてもってくると、わらのすきまに置きます。

 こく、こく、喉を鳴らしてお湯をのんだあと、首を高々とあげ、仔馬のそこのはううんと伸びをしました。まわりの皆、また目をみはります。なんだか、大きくなったみたい。倒れる前より、毛並みの色つやも一段といい。

 おや、とおばあさん馬が首をかしげ、頭をさげて近づきます。ごらん、この子の胸になんだか妙なかたちのしみが。

 ぴんと張りのある首もとの毛並みの上に、たしかに漆黒の、前にはなかった模様が浮かんでいます。

 そこのは、こともなげに、

「ほかのだよ」

 といいました。

 え、みんな目をむけます。

「ええ、つまり、なんていうんだろう」

 仔馬のそこのは頭をめぐらし、

「しみとか、よごれとか、そういうのとは、まるでちがう。ほかの、ってのはつまり、特別、ってこと。とっても立派なんだ。勲章なんだよ。いつかぼくは、この、ほかのにふさわしい、立派な馬にならなくちゃなあ」

 おばあさん馬、おじいさん馬、女馬に仔馬たちが、そこのの前に集まり、首もとにできた「勲章」を見つめます。よくよく見るとそれは、鋭く翼をひらいた真っ黒な鳥のかたちに似ています。

 瞬間、黒い模様のなかから、砂のような金色の光がぱらぱらと噴きだしました。光は馬たちの瞳にもうつり、厩舎のなかばかりか、この世ぜんたいを、遍く輝かせてみえました。

 外で蹄音が響きます。もうすぐに、春がやってきます。ぬるまった雪解け水のなかで真っ黒いオタマジャクシが整列します。そうして、音符になって踊りながら、どこまでもまるく広がる大皿のような空と、その上を飛びかう鳥たち、ささやかな生きものたちの歌を、この世にうまれたての声でうたうのです。